「死にどきは自分で決める」差し出だされし酸素マスクを辞して師は逝く
西嶋老師の最後のお言葉。
病床での寝たきりが続いた、2014年の1月のある日。
看護師が’、楽になりますから’と、つけようとした酸素マスクを
「自分の死にどきは、自分で決める」
と言い、酸素マスクをつけることを断って、そのまま亡くなられた。
そうお聞きしました。
人は自分の死にどきが、わかるものなのか、あるいはそれを覚悟をもって決められるものなのか。
想像もつきませんが、伝え聞いたその西嶋老師の最後の言葉を、忘れずにいたいと思います。
もうひとり、私の親しい先輩にも、最期に差し出された酸素マスクを
「これはまた、あした勉強するからよ」
と断って、目を閉じ亡くなった人がいました。
修行とは真逆の、人生の愉快を求め続けて生きた、グルメにしてグルマンのエピキュリアンでした。
その人は、そこが自分の死にどきと、思い定めたのかどうかはわかりません。
老師とならべて記すのは不謹慎かもしれませんが、老師の言葉を思い出すにつけ、千差万別の個々人に、必ず同じように訪れる死の、それぞれの受け取り方ということも、想わずにはいられない気がします。